第6回(平成25年度)国土交通大臣賞<循環のみち下水道賞>の受賞について

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積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸 修史、以下当社)は、この度国土交通省より 第6回(平成25年度)国土交通大臣賞<循環のみち下水道賞> を受賞することが決定しました。なお、授賞式は9月10日に行われる予定です。

 

1.国土交通大臣賞<循環のみち下水道賞>について

昨今、国土交通省において、下水道についての理解と関心を深めることを目的として、平成4年度より国土交通大臣賞<いきいき下水道賞>が設置されました。
下水道を取り巻く情勢の変化および持続可能な循環型社会の構築に向け、国土交通省では平成17年に新たに「下水道ビジョン2100」を策定し、21世紀社会の下水道の基本コンセプトとして「循環のみち」を掲げ、このための基本方針として「水のみち」「資源のみち」の創出、「施設再生」の3つの方針を打ち出しました。
これを受け、平成20年度からは国土交通大臣賞<循環のみち下水道賞>と名称が変更されるとともに、「水のみち部門」「資源のみち部門」「サスティナブル活動部門」「特別部門」の4部門が設けられました。

 

2.受賞内容


第6回(平成25年度)国土交通大臣賞<循環のみち下水道賞> サスティナブル活動部門

「日本の下水道技術(管路更生工法)による欧州都市再生への貢献」

 

 

※受賞のポイント

当社は東京都下水道サービス株式会社および足立建設工業株式会社と開発した管路更生工法「SPR工法」の海外展開を進めてきました。
東京都下水道サービス株式会社は、設計マニュアルの作成や海外政府との関係構築において、東京都と連携して日本発のSPR工法の日系企業の海外進出を牽引、また足立建設工業株式会社は世界に通用する施工機械の開発を、当社は施工材料の開発・製造・施工と海外事業展開を担ってきました。
今回、ドイツ南部にあるアンスバッハ市においては、1936年に建造された下水管路が老朽化しており、早急な更新が必要とされていました。
同地域は歴史的に価値がある建造物が多数あり、かつ各住居が密集したエリアのため、従来の開削工事ならびに既存の非開削工法では対応が出来ず、解決策を模索していました。
そこで、当社の子会社であるSEKISUI SPR EUROPE社(ドイツ)は、日本で開発された管路更生技術であるSPR工法を同市公共事業団AWEANに提案し、2013年4月に受注。2013年7月末に全作業を完了させました。

 

■SPR工法が採用された理由は次の5点です。

 

①非開削のため、開削工事と異なり歴史的建造物の保全が図れる

 

②マンホールから資材を管路内に供給することができ、地上の作業スペースを最小限に抑えることができる

 

③レンガ作りの逆卵形という複雑な形状の既設管へ対応が可能

 

④居住エリアであるが下水供用下での施工が可能

 

⑤ 歴史、文化地区保護のため廃棄物の発生を最小限に抑えられる

 

SPR工法による非開削での老朽管路の更生により、住民生活・環境・歴史的建造物への負荷を軽減しながら、重要な都市インフラである下水道を再生し都市生活の安定化に貢献することができました。
また、ドイツ以外にフランス、ブルガリア、ポーランドなど他の国においても、同様のケースが多数存在することから、現在幅広く海外展開を進めています。

 

3.施工概要

 

口 径

:横 1,200mm × 縦 1,500mm × 延長 220m(卵形管)

 

既設管

:レンガ作り(1936年建造)

 

用 途

:下水道

 

 歴史的建造物を含む居住エリア

 埋設後77年経過した既設管

歴史的建造物を含む居住エリア

埋設後77年経過した既設管
(レンガ製、卵形管路)

 

 

SPR工法による施工風景

施工後の管路

SPR工法による施工風景

施工後の管路

 

4.アンスバッハ市について

アンスバッハ市について

【基本情報】

ドイツ バイエルン州

人口:39,684人(2012年12月31日現在)

面積:99.92キロ平方メートル

主下水道管線距離:256キロメートル

下水道普及率:99%

下水道管布設年数:1936年(敷設後77年経過)

 

 

 

《参考》「SPR工法」について  (SPR・・・Sewage (Spirally) Pipe Renewal の頭文字)

SPR工法は、帯状の硬質塩化ビニル樹脂製プロファイルを既設管の中で螺旋状に巻きながら嵌合させて製管した後、既設管と更生管の間隙部に特殊裏込め材を注入して老朽管を更生(改築・更新)する工法です。250mmの小口径から6,000mmの大口径までの幅広いサイズの管路や円形以外の断面をもつ管路、湾曲している管路にも適用できる工法です。
またSPR工法は「既設管との複合」という世界初となる独自の発想をとり入れることにより、既設管の残存強度を有効利用することができ、下水を流しながらの施工が可能です。そのため、道路の掘削が必要な開削布設替工法と比較して、工期やコスト、工事に伴う周辺住民や社会・環境に与える影響を大幅に軽減することができます。

 

「SPR工法」について

 

なお、SPR工法は2005年 経済産業省主催「第1回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞」、2013年3月 「第59回大河内賞 大河内記念賞」を受賞しています。

第1回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞

 

受賞名:「老朽化した下水道管を、下水を流しながら新管同等に蘇らせる管路更生工法の開発」

第59回大河内賞 大河内記念賞

 

受賞名:「スパイラル自動製管管路更生工法の開発と実用化」


関連サイト

エスロンタイムズ on the Weblink

以上