積水化学グループのCSR経営について

環境貢献製品売上高比率 年度目標の38%を達成

温室効果ガス排出量 年度目標を上回る28%を達成(1990年比)

事業所における生態系への影響評価を国内3事業所で実施

従業員CS品質アセスメントとお客様アンケートを比較し、CS品質経営の浸透度を把握

グローバル人材数は2013年度の目標を2012年度でほぼ達成

社会貢献活動 ノー残業デーを利用し、1時間程度でできるプログラムを拡充

Robeco SAM社サステナビリティ格付け 「Bronze Class」、Ethibel PIONEER and Ethibel Excellence選定、

 

「FTSE4Good Index」に10年連続で選定、DJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)選定

 

 積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸修史)および積水化学グループでは、CSR経営を推進していくための必要な要件を、「環境」「CS品質」「人材」の3つの“際立ち”と、「コンプライアンス」「リスクマネジメント」「情報開示と対話」の3つの“誠実さ”と定め、事業を通じて社会に貢献することを目指して、取り組みを進めています。

 

 

1.2012年度の総括

 2012年度は、「環境」や「人材」の取り組みが大きく進捗し、中期経営計画の最終年度となる2013年度には、環境貢献製品の売上高比率およびCO2の削減量について、目標を達成できる見込みとなりました。

テーマ

重点取り組み項目

2012年度の成果

2013年度の目標

環境

・環境貢献製品の拡大
 

売上高比率38%

 

(目標38%)

売上高比率40%以上

 

 

・温室効果ガス排出量削減

 

1990年度比

 

28%削減<国内>

 

(目標21%削減)

1990年度比

 

20%以上削減<国内>

 

 

CS品質

・外部損失費
 

40%削減

 

(2004年度比)

68%削減

 

(2004年度比)

・重要品質問題発生の撲滅

2件(目標0件)

0件

人材

・グループ人材力の向上

人事制度の改定

グループ会社への展開

・グローバル人材の育成

グローバル人材数

 

294人

グローバル人材数

 

300人

・多様な人材の活躍
 

新卒女性採用比率

 

28%(目標30%)

新卒女性採用比率

 

30%

 

2.2012年度の取り組みについて 

1)環境

(1)環境貢献製品売上高比率 年度目標の38%を達成

 積水化学グループでは、持続的な成長に向けて、環境経営の方向性や達成レベルを示した長期ビジョン「Sekisui Eco-Frontier 2030」を2009年度に策定しました。ビジョンの達成に向けて「地球温暖化防止」「資源の有効活用」「生物多様性」の3つの重点分野を設定。前者2つに共通する「カーボンマイナス(※1)の実現」と「生物多様性の保全」を2つの目標として掲げています。
 2012年度の環境貢献製品売上高は、太陽光発電システム搭載住宅の好調な売上や、環境貢献製品(※2)の品目増加によって、3,925億円に拡大。売上高比率は38%となり、年度目標を達成しました。
 国内の生産事業所で排出されるCO2は、環境貢献製品売上による削減量でほぼカバーしており、カーボンマイナスの実現に向けても着実に成果が表れてきています。

※1:カーボンマイナス:原材料起源・生産など、事業活動にともなう温室効果ガスの排出を、製品使用時の温室効果ガス削減効果などが上回ること。

※2:境貢献製品:従来の環境配慮のレベルを高め、お客様および社会の環境負荷低減に確実に貢献できる製品・事業をさす。

 

(2)生産活動にともなう国内の温室効果ガス排出量 1990年度比21%削減の年度目標を上回る28%を達成

 日本国内では、生産時に発生する温室効果ガスの総量を「2013年度に1990年度比20%以上削減する」という目標を設定しています。2012年度は、「環境投資促進策(※3)」の成果もあり、1990年度比で28%削減し、年度目標を達成しました。
 海外の生産拠点については、事業の拡大によって製品構成などが大きく変化しています。そこで、「2013年度にエネルギー原単位を2008年度比5%以上削減」をガイドラインとし、これに沿って 各事業所が自らの状況に応じた目標を設定しています。

※3:境投資促進策:CO2排出抑制を目的とした投資について、削減効果に応じた費用をコーポレートがカンパニーに支援するもの。2007年度に導入し、2009年度からエネルギー使用の実態把握のための“見える化”投資も対象に加えた。

 

(3)事業所における生態系への影響評価を国内3事業所で実施

 環境経営長期ビジョン「Sekisui Eco-Frontier 2030」の主要目標のひとつである「生物多様性の保全」に対して、2011年3月に取り組みのガイドラインを策定しました。2012年度も、このガイドラインに従い、国内3事業所で、生産プロセスや土地利用などを生態系への影響という観点から評価しました。その結果、一部の事業所で植栽が単一で高木、低木を織り交ぜた立体的な構造が少ないなどの課題も浮き彫りになってきました。今後、これらの課題に取り組んでいくことで、多様な生物と共生できる事業所づくりを進めるとともに、積水化学グループ全体の活動レベル向上を図っていきます。

 

(4)カンパニー活動事例
①積水メディカル(株)岩手工場が総合省エネルギーシステムの導入によりCO2を11%削減(高機能プラスチックスカンパニー)

 積水メディカル(株)岩手工場(八幡平市)が、ボイラーのLNG燃料転換を含む省エネルギーシステムを導入しました。このシステムは、ボイラー燃料をLNGに転換すると同時に、未回収の排熱の有効利用や熱損失の削減からなるもので、経済産業省「平成23年度エネルギー使用合理化支援事業」にも採択されています。このほか、同工場では太陽熱エネルギーを効率良く利用するシステムと排熱を利用した融雪システムを導入。こうした活動の結果、2012年度、同工場ではCO2排出量を2011年度比で11%削減しました。

 

2)CS品質

(1)従業員CS品質アセスメントとお客様アンケートの比較により、積水化学グループのCS品質経営の浸透度を把握

 積水化学グループでは、2012年度から新たな取り組みとして、国内従業員を対象としたCS品質アセスメント(アンケート調査)を実施しています。従業員のCS品質に関する意識と行動を測ることで、CS品質経営の浸透度把握と課題を明確にすることを狙いとしています。
 お客様との接触が少ない生産部門などで「CS品質の自信度」が若干低いという傾向があり、そのような部署での風土醸成が今後の課題であることがわかりました。
 さらに、同時期に実施した「お客様アンケート」の総合評価と比較し、お客様と従業員の認識の差を確認しています。「お客様満足度」(CS品質提供度)に影響を与えている6つの評価項目(※4)を比較したところ、両者で重要視する項目が異なる事業部が多くあり、新たな課題を抽出しました。

※4:6つの評価項目:①製品・サービスの先進性 ②優れたマーケティング活動 ③コストパフォーマンスの良さ④信頼性のある品質 ⑤効果的なデリバリー ⑥アフターフォローの良さ

 

(2)カンパニー活動事例
①「第1回セキスイハイムお客様センター全国電話応対コンテスト」を開催(住宅カンパニー)

 住宅カンパニーでは「第1回セキスイハイムお客様センター全国電話応対コンテスト」を2013年3月に開催しました。
 このコンテストは、お客様窓口全体の応対品質と担当者のモチベーション向上を狙いとしています。これまでにコーポレートのお客様相談室が中心となって進めてきた「電話応対研修」の受講者で、全国のセキスイハイム販売会社から選出された18人が、日頃の電話応対スキルを競い合いました。コンテストは2013年度以降も継続して実施していく予定です。
②業務に従事する全従業員を対象に「CSR認定制度」を展開(環境・ライフラインカンパニー)
 環境・ライフラインカンパニーでは、安全・品質・コンプライアンスに関して「カンパニーCSR認定制度」と称した独自の基準・ルールを設け、活動の改善に取り組んでいます。
 従来は、関係会社ごとでCSR認定制度を運用していましたが、基礎となる安全・品質・コンプライアンスに関しては、共通化して周知徹底を図るものです。
 この認定制度は、派遣会社を含む同カンパニーの全従業員を対象としており、研修の受講を義務づけています。2012年度は、国内外で約160回の研修を実施し、海外約550人を含む約5,100人が受講しました。

 

3)人材

(1)積水化学人事制度2012をベースとしたグループ人材育成施策を展開

 積水化学グループは「人を活かし、人を伸ばす」という考えのもと、一人ひとりの意欲をキャリアに結びつけるさまざまな機会を通じて、従業員の自律的なキャリア開発を応援しています。
①「グループ人材力の向上」
 積水化学グループを牽引するビジネスリーダーの後継者を計画的に育成するために、毎年、現在のビジネスリーダーが、自らの後継候補となる複数名の人材を推薦しています。指名された後継者候補に対して、計画的な育成・配置を行い、幅広い経験を積ませることで、次代ビジネスリーダーへの成長を促しています。
 また、新任基幹職(管理職)へのCSR研修をグループ会社にも拡大し、2012年度は、従来の5割から7割に参加者が増えました。
②「グローバル人材の育成」
 グローバル人材を育成する「グローバル人材制度」を設けており、国内グループ従業員約1,600人が登録しています。登録した従業員は、海外赴任に必要な異文化研修や専門教育を受講しています。本制度を通じて、2013年度までに海外で“即戦力”として働ける日本人従業員を300人まで増やすことを目標としており、2012年度は294人が「グローバル人材」として認定されました。
③「多様な人材の活躍」
 積水化学グループでは、意欲の高い女性が活き活きと働き続けられるよう、女性の積極採用、各種研修、女性のキャリア支援、仕事とライフイベントとの両立支援などの各種取り組みを展開しています。
 特に新卒女性採用比率については、2013年度に30%を目標としていますが、2012年度は28%まで達しました。また、ラインマネージャーに登用される女性も増え、女性の活躍する場が確実に拡大してきています。

 

(2)カンパニー活動事例
①営業力向上を図るエコハイム検定の継続実施(住宅カンパニー)
 住宅カンパニーでは、2009年度から、すべての新築住宅の営業担当者を対象に独自の教育研修プログラム「エコハイム検定」を実施しています。
 検定は筆記試験形式で、自社商品や時事など幅広い分野から出題して知識レベルを確認します。
 2012年度は、プログラムが定着し正解率が9割を超えました。2013年度以降は、イントラネット上で受検できる「エコハイムラーニング」の導入を目指しています。

 

4)自然保護・社会貢献活動について

(1)自然保護活動~海外にも活動範囲を拡大~

 積水化学グループは「事業活動を通じた環境貢献」を基本的な考え方として、1997年度から環境貢献活動を続けてきました。
①海外における自然保護活動
 ・中国北部での植林活動
 2012年度から、北京市から約180km北に位置する河北省豊寧族自治県で、地元の河北省林業局と連携して植林活動を開始しました。2012年6月には、北京市周辺のグループ会社の従業員とその家族121人が参加し、約900本の苗木を植えました。植林活動では、乾燥や寒さ、痩せ地に強い中国北部原産の樹種を選び、2017年まで毎年2,000本を植樹する計画で、現地の水源涵養機能回復・維持と砂漠化拡大の抑止に貢献していきます。
  ・タイでのマングローブ植林活動
 2011年から、タイ・バンコクの南西約90kmにあるサムットソン・クラームで、タイ南部周辺のグループ会社の従業員とその家族がマングローブ植林活動を実施しており、2012年度は5社から109人が参加しました。
 積水化学グループでは、近年、漁業資源の維持や、防潮・防風、気候変動の緩和などの機能が見直されているマングローブ林の再生を通じて、漁業資源の回復や減災などの地域への貢献と、温暖化防止をはじめとする地球規模での貢献を目指し、活動を続けていきます。

 

(2)社会貢献活動~ノー残業デーを利用した社会貢献活動の拡充~

 積水化学グループでは、2009年度から、従業員一人ひとりが参加しやすい社会貢献活動を進めています。これまでに、社員食堂で行う「TABLE FOR TWO」や、不要な本を寄付する「BOOK MAGIC」を実施してきました。 
 2012年度は、これをさらに拡充し、「Heart+Action」と称した活動を推進。国内の病院に入院している子どもたちや開発途上国の子どもたちのための国際協力の活動を、積水化学の東京・大阪本社、京都・つくば事業所で実施しました。ノー残業デーなどを利用した1時間程度でできるプログラムであることから、「気軽に参加できる」「簡単なことで社会の役に立てて嬉しい」との声が寄せられています。

 

3.社会からの評価

 ・Ethibel PIONEER and Ethibel Excellence選定

 ・Robeco SAM社サステナビリティ格付け「Bronze Class」

 ・「FTSE4Good Index」に10年連続で選定

 ・DJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)選定

 

4.CSRの取り組みをまとめた「CSRレポート2013」(和文)発行、Webサイト更新

 積水化学グループのCSRの取り組みをまとめた「CSRレポート2013(和文)」を発行しました。また、併せて、当社Webサイトの内容も更新しました。「CSRレポート2013(英文)」の発行は8月末の予定です。

CSR経営サイト

以 上